英文法書ってなんであんなに分厚いのでしょう。
文法が大事だとは思うけど、本を手に取るのさえ億劫になってしまいます。
とりあえず必要だからページを開いてみるけど……、
継続用法……、関係代名詞の省略……、部分否定……
英語の前に日本語の説明が難しくて「キィ~っ」ってなります。
何度読んでもダメ。ぜんぜん頭に入ってきません。
私も色々と書店で立ち読みしますが、英文法書の本で取り組みやすい本って少ないなと思います。
私にも理解できるやつは。
そんな私にも何とか理解できた本。
今回は、「英語って簡単なんだよ!」と教えてくれた本を紹介したいと思います。
英語って簡単
『ハートで感じる英語塾 英語の5原則編』は、以前放送されていた『NHK3か月トピック英会話「出張!ハートで感じる英語塾」』のテキストをまとめた本だそうです。
この本は、受験用の英文法書のように、文法事項がずらずらっと並んでいる本ではありません。
大丈夫です。そういう本は紹介しません(笑)
そういう本はちょっと敬遠したいですよね。
『ハートで感じる英語塾 英語の5原則編』は、そのような英文法書とはアプローチの仕方が違っていて、「英語の感覚」のほうから文法にアプローチしています。
「ネイティブはこういう感覚で英語を話しているんだよ~」という感じです。
この本は英会話向けですが、英会話が目的でない人にとっても「英語ってこんな感じなんだ」という気付きが得られます。英語初心者の私は「なるほどな~」と思いながらページをめくりました。
英語は、得体の知れないバラバラの暗記事項でできあがっているわけではありません。
5つの原則のまわりにスッキリと集まっているのです。
カンタンなんだよ。
単純なのさ。
英語は配置のことば
著者は、英語はすごくスッキリできているんだと言います。
そのためには、まず「英語は配置のことば」だと理解することが必要です。
基本文のパターンとして3つ紹介されています。
A 動詞+α
このパターンは「力を及ぼす」。動詞の力がαに及んでいます。
I said ‘I love you’ and she slapped me.(好きだって言ったらビンタされた)
B 動詞のみ
力が及んでいく相手がいないので、どこにも力は及びません。このパターンは「単なる動作」。「何か動いているな」という感覚です。
I’m hiding from my wife.(妻から隠れている)
動詞のうしろに名詞をつけると意味が変わります。
I’m hiding the letter from my wife.(妻から手紙を隠しているんだよ)
うしろの名詞に力が及ぶのがわかります。
C 手渡す
動詞のうしろに名詞が2つついた動詞+a+bの形。このパターンは「手渡す(あげる・くれる)」。aは渡される人、bは渡されるモノです。
I found him a T-shirt that suits him.(彼に似合うTシャツを見つけてあげた)
「英語の5原則」とは?
「英語は配置のことば」であることを中心として、5つの原則が紹介されています。
1. 並べると説明
英語は配置のことば。並べ方がとくに重要なことばです。「並べると説明」はうしろに並べると「説明になる」という原則。
この原則は、「説明したければうしろに並べろ」ということ。これは英語の根幹を成す原則です。
2. 前から限定
「前から限定」は、「限定したければ前に置け」という原則です。
He is very busy.
この文は、「ただのbusyじゃないんだよ、veryレベルのbusyなんだ」と限定しています。
3. 足りないをおぎなう
「説明が足りない」「情報が足りない」と感じたら「おぎなえ」という法則。
例えば、to不定詞。
I went to the shop to buy a laptop computer.
ここで、to不定詞までの文章だけでは不十分です。「私は店に行きました」と言われたら、相手は「何しに行ったの?」って思いますよね。それをtoが埋めます。
4. 不安定な感情
表現が定位置から(前に)動かされると「強調」「対比」など、話しての特別な感情(意図)がこもります。配置の安定が崩されると、感情の動きが生まれる、それが配置のことば、英語です。「位置が動くと感情が動く」、それがこの原則なのです。
Is she a student?
なぜ、疑問文は「倒置」の形なのか。それは、疑問文は「感情の起伏をともなうから」。
「答えを知りたい、教えて!」と感情が揺れ動いています。
How lucky you are! (君はなんてラッキーなんだろう!)
感嘆文もまた、感情が動いているからluckyが前に出てくるのです。
5. ときは距離
人間はときを距離としてとらえます。
現在形、過去形、現在完了形、進行形にはそれぞれ距離感があります。
たとえば、過去形は「遠く離れた」という形。過去形を使う時、その目は遠くを見つめています。
My dad was a great soccer player in his day.(父さんは若いころすごいサッカー選手だったんだよ)
現在完了形はダイナミックな形。過去方向から手元にグッと迫ってくる、動きの感触です。
We’ve been partners for 5 years.(5年間ずっとパートナーだよ)
パートナーである、それが過去から今にぐっと迫ってきます。大切なのはこの視点の動き。
『ハートで感じる英語塾』の感想
少し抜き出して紹介させて頂きました。
私がなぜこの本を手に取ったのかというと、いま聞いている『ラジオ英会話』が面白かったからです。私は夏ぐらいからたまに聴くようになったのですが、毎回「なるほどね~」という感覚があるので気が向いたときに聞くようにしています。実は、『ラジオ英会話』の講師が、『ハートで感じる英語塾』の著者である大西泰斗先生、ポール・マクベイ先生なのです。
いまになってみると、4月からテキストを買ってやっていればよかったと後悔しています。
そこで、お二方の著作を探すことにしたわけです。
すぐに思い浮かんだのは『一億人の英文法』でした。この英文法書は人気で絶賛される人もいますよね。実は、私もやり直し英語をはじめたばかりの頃に読んでみたことがあります。でも、難しすぎてまったく読めませんでした。
そこで探し当てたのが、この本です。「ハートで感じる」シリーズは3作あって、こちらも充分難しい(単語が難しい)のですが、ラジオ英会話で聞いていたときに気になった内容について書かれていたので読んだというわけです。
この本の良いところは、「感覚」で教えてくれるところ。
そういう本は少ないですよね。
暗記するのが苦手な私には、「英語ってこんな感じなんだよ」と教えてくれる本のほうが分かりやすく感じます。
あとは、薄いところ。例文の単語は難しいけど、意外と簡単に読めました。久しぶりに1冊読めたな~と嬉しく思っています。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

NHK新3か月トピック英会話 ハートで感じる英語塾 英語の5原則編 (語学シリーズ NHK新3か月トピック英会話)
- 作者: 大西泰斗,ポール・マクベイ
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2008/02/16
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